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 帝王切開術
帝王切開術は、全ての妊婦さんが施行する可能性のある手術です。
お母さんの疾患のために行なう場合も赤ちゃんが原因で緊急に行なう場合もあります。
最近はお母さんと赤ちゃんも安全を考えて「産む」という観点から骨盤位(逆子)や前回帝王切開術を行なった場合など選択的(始めから予定して)に行なう施設も増えつつあります。
 
   
帝王切開術の適応
母体の適応  児頭骨盤不均衡前置胎盤子宮破裂重症妊娠高血圧症候群
 常位胎盤早期剥離
、分娩停止、分娩遷延
   
胎児の適応  胎児機能不全さい帯脱出子宮内胎児発育遅延切迫早産前期破水
 双胎(多胎)妊娠
 
   
麻酔 脊椎麻酔、硬膜外麻酔、全身麻酔などが状況によって使われます。
通常は脊椎麻酔か硬膜外麻酔が用いられ、どちらも腰椎に針を刺し麻酔薬を注入して下半身の麻酔を行ないます。
 
   
手術の手順
@ 腹部、腟、外陰部の消毒を十分に行ないます。
A 手術部に穴の開いた布でお腹を覆います。
B メスを使って皮ふを切開します。この方法は腹部縦切開と腹部横切開があり、緊急を要するとき以外は美容上の観点から腹部横切開を行なうことが多いようです。どちらも切開の長さは10〜13センチメートル程です。
C 皮ふ切開後、皮下組織(皮下脂肪)を切開します。腹部縦切開では皮ふと同時に皮下組織も切開して腹直筋膜を確認します。腹部横切開では術者の指を使って皮下組織を腹直筋膜から剥がします。
D 2本ある腹直筋を左右に分けて腹膜を確認します。
E 腹膜を摘んで、小切開を加え子宮などに傷をつけないように上下に切り開きます。これで子宮を直視できるようになりました。
F 子宮を覆っている腹膜を膀胱の辺縁から離れた部分で横に切開して、指やガーゼなどを使って膀胱を子宮から剥離します。
G 膀胱を剥離した子宮をメスを使い2〜3cm横に切開して卵膜を出します。
H 卵膜を破き(人工破膜といいます)、左右の指を使って子宮の切開した部分を胎児が出られる大きさまで左右に拡げます。
I 胎児を子宮から出します。さい帯を2〜3箇所摘んでその間でさい帯を切ります。
J 子宮の収縮を確認しながら、胎盤を子宮から出します。
K 子宮の傷を縫合します。まず子宮内膜と筋層を融ける糸で傷の端から端まで縫合します。
次に今縫合した上から筋層だけを再度端から端まで縫合します。
L 剥がした膀胱を元に戻すために、子宮を覆っていた切開した腹膜を元に戻す様に縫合します。
M 子宮の傷や周囲に出血やガーゼなどが無いことを確認します。
N 腹腔を覆っていた腹膜の切開した部分を元通りに戻すように縫合します。
O 腹直筋の筋膜の切開した部分を元に戻すように縫合します。
(このとき、筋膜を腹直筋から剥がした面積が多いときには先に左右の腹直筋を縫い合わせることもあります。)
P 皮下組織(皮下脂肪)が多いときには、同部位だけを縫合することもあります。
Q 最後に、皮ふの切開創を縫合して終了です。
   
   
   
帝王切開後の問題 帝王切開後に起こる問題として最近注目されているものは、深部静脈血栓症から肺血栓塞栓症です。
帝王切開術後は早期離床(早めに起上がり歩かせる)と弾性ストッキングなどを装着して血栓を予防することが重要です。
また肥満や高齢妊娠などの方、抗リン脂質抗体症候群などの方は高リスクとなるため、予防のために血栓溶解剤などを早めに投与することもあります。
一般的な問題は、術後に手術創や子宮に感染を起こしたり、癒着を起こしたりすることがあります。
感染予防のため術後に抗生物質を2〜3日間投与します。また癒着防止のためのフィルムを術中に子宮の上へ装着することもあります。


深部静脈血栓症について詳しくは・・・→ こちらへ
抗リン脂質抗体症候群について詳しくは・・・→ こちらへ
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