| 抗リン脂質抗体 | 
    
      | 「抗リン脂質抗体」とは体内にあるリン脂質に対する自己抗体のことで、抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体)とループス抗凝固因子(LAC)があります。この抗体を持っている患者さんが、血小板減少症や血栓症さらに流産や死産を繰り返すような場合を「抗リン脂質抗体症候群(APS)」といいます。 APSの患者さんが流産や死産を繰り返すのは、妊娠子宮や胎盤内の血管で血栓(血液の塊が血管を塞いでしまう)をおこし、胎児への酸素や栄養分の補給が閉ざされてしまうためです。
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      | 産科に対する 影響
 | 以下の既往のある妊婦さんへ対しては妊娠6〜7週までに抗リン脂質抗体のチェックをする場合があります 
 1)習慣性流産
 2)子宮内胎児死亡
 3)子宮内胎児発育不全
 4)妊娠高血圧症候群
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      | 診断基準 | 以下のような場合は抗リン脂質抗体症候群と診断されます。 
 1)血栓症  画像診断や病理検査などで確認されたもの
 
 2)妊娠中の既往
 
 a)妊娠10週以降に胎児に異常を認められずに、胎児死亡を起こしたことがある
 
 b)重症妊娠高血圧症候群や重症胎盤機能不全などで妊娠34週以前に正常児を早産したことがある
 
 c)妊娠10週未満の流産を3回以上連続で繰り返したことがある
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      | 検査基準 | 以下のような場合は以下のような場合は抗リン脂質抗体症候群と診断されます。と診断されます。 
 1)抗カルジオリピン抗体が6週間以上の検査間隔で2回以上検出される場合
 
 2)ループスアンチコアグラントが6週間以上の検査間隔で2回以上検出される場合
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      | 抗リン脂質抗体 陽性に対する
 治療法
 | 以前からいろいろな治療法が試されていますが、治療効果と副作用の問題があり一長一短です。 
 @副腎皮質ステロイドやγグロブリン大量療法による自己抗体産生抑制
 SLEなどに続いて起こる抗リン脂質抗体症候群に使われます。
 
 A低用量アスピリンやヘパリン療法による血栓形成の抑制
 アスピリンとヘパリンの併用療法がよく行われています。アスピリンの開始時期は一定の方法はありませんが終了時期を妊娠36週までとしている場合が多く、ヘパリン(カプロシン)は妊娠判定時から陣痛が来るまでにする場合が多いです。
 
 B漢方療法  柴苓湯を投与します。
 
 C血漿交換療法による血中の抗体除去
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