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 遷延分娩 
 分娩が始まってから初産婦さんで30時間、経産婦さんで15時間経っても赤ちゃんが産まれない状態をいいます。
分娩時間だけで考えてしまうと、遷延分娩の頻度は高くなってしまいます。前駆陣痛(実際にはまだお産が始まっていない)を陣痛開始と勘違いしていることもあります。
遷延分娩とは、分娩時間の延長という観点から考えたもので、病的な意味合いよりも分娩を遷延させている原因を早期に発見・処置して、お母さんと赤ちゃんの安全を確保するためのものです。

難産とは・・・
難産を辞書で調べると、「出産で、胎児がなかなか生まれないこと。」と書いてあります。分娩中(または分娩を経験された)のお母さんやそのご家族が「難産」という言葉を使われますが、われわれ産婦人科医が使う「遷延分娩」と同じ意味で使われているように思います。
   
遷延分娩の分類と原因 分娩第1期遷延分娩
陣痛開始から子宮口が全開大(赤ちゃんを産める状態にまで 開くこと)になるまでの時間がかかりすぎる場合をいいます。
原因:微弱陣痛狭骨盤軟産道強靭児頭骨盤不均衡回旋異常など

分娩第2期遷延分娩
子宮口が完全に開いてから、赤ちゃんが産まれるまでの時間がかかりすぎる場合をいいます。
原因:微弱陣痛児頭骨盤不均衡など

実際に、遷延分娩の原因として一番多いものは微弱陣痛です。
また無痛分娩などを施行すると分娩時間が長くなることがあり遷延分娩になることもありますが、赤ちゃんが元気で正常な分娩進行を認めれば心配ありません。
   
頻度 分娩第1期遷延分娩は、初産、経産婦さんを問わず全分娩の3〜4%といわれています。

分娩第2期遷延分娩は、同じく全分娩の8%程度といわれています。 
   
お母さんと赤ちゃんの状態により管理や処置に違いがあります。
遷延分娩の原因に微弱陣痛が認められたからといって一概に陣痛促進するのでなく、お母さんの疲労状態などを考慮して休息をとることも治療の選択肢になります。
一方、遷延分娩が原因で、赤ちゃんに胎児機能不全などが確認されれば、緊急帝王切開術を施行することもあります。
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