考えられる状況 |
子宮頚管長の短縮を指摘されている場合、胎児や胎児の入っている胎胞(卵膜)が子宮口を押し広げている可能性があります。正常の子宮頚管の長さは妊娠週数によって異なりますが3.5〜4cm以上とされています。子宮収縮を伴わずに妊娠経過と共に子宮頚管が軟化して頚管の短縮を起こす場合を頚管無力症と診断しますが、臨床的には子宮収縮の有無にかかわらず切迫流産や早産として扱い、長さが2〜2.5p以下になると入院治療が必要になります。子宮頚管無力症では痛みや張りを感じずに出血することもありますが、生理と同様かそれ以上の出血を伴うときはさらに子宮頚管長が短縮したり子宮口が開いてしまった可能性もあります。
また絨毛膜羊膜炎などを合併していると、高位破水などを起こし少量の破水に血液が混ざり薄いピンク色を呈することもあります。 |
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注意点 |
生理と同じような出血があるときは子宮頚管長の短縮がさらに進み子宮口が開き始めた可能性があります。絨毛膜羊膜炎を合併していると破水の危険があります。出血の混じったサラサラした「お水」や突然多量の「お水」が出たときは「破水」が考えられます。低置胎盤や前置胎盤などがあると出血が止まらなくなるかもしれません。安静を保ちながら、早急に主治医に連絡をしてください。 |
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考えられる病名 |
1)切迫流産や切迫早産
妊娠22週未満 詳しくは・・→ こちらへ
妊娠22週以降 詳しくは・・→ こちらへ
2)絨毛膜羊膜炎
細菌性腟炎などから子宮頚管を伝わって子宮内の卵膜に感染が広がってしまった状態です。
詳しくは・・・→ こちらへ
3)子宮頚管無力症
詳しくは・・・→ こちらへ
3)低置胎盤・前置胎盤
突然、出血することがあります。妊婦健診で胎盤の位置に関して注意されている方は要注意です。
詳しくは・・・→ こちらへ
4)前期破水(高位破水など)
絨毛膜羊膜炎などがあると、突然破水してしまうこともあります。
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5)子宮腟部びらんや子宮頚管ポリープ
妊娠に関係なく、日常生活でも出血することがあります。
子宮腟部びらん |
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子宮頚管ポリープ |
詳しくは・・・→ こちらへ |
6)常位胎盤早期剥離
突然の下腹部痛と持続的な子宮の収縮をおこします。妊娠期間中に正常の位置にある胎盤が胎児が産まれる前に子宮から剥がれてしまう状態をいいます。胎盤が子宮から剥れてしまうことにより胎児は十分な酸素を胎盤から得られず低酸素状態になって生命の危険にさらされ、さらに母体は剥がれた胎盤などの組織因子がが血液中へ流入してDIC注)を起こし非常に危険な状態におちいることがあります。原因は高血圧、外傷、子宮の異常、感染症など多種に及びますが、妊娠高血圧症候群に合併することが多く、一度発症すると短時間に胎児生命を危うくするばかりでなく母体の生命維持のために緊急手術を行う必要があります。
詳しくは・・→ こちらへ
DIC注)
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