絨毛膜羊膜炎・頚管炎 |
絨毛膜羊膜炎(CAM)や頚管炎は、腟の中にいる細菌が子宮へ感染しさらに卵膜(胎児を包んでいる膜)へ感染した状態です。近年、比較的早期の早産の重要な原因の一つに注目されるようになって来ました。またこれによって早産した胎児は、子宮内で感染している事が多く、産まれた後に重症の肺炎や敗血症さらに髄膜炎などを起こす事があります。 |
|
|
症状 |
まったく症状のないものから軽度の子宮収縮〜38℃以上の高熱を伴うものまで、症状はまちまちです。「臭いの有るおりもの」が突然増えてきた場合には一度受診する事をお勧めします。またどのような細菌でも原因となりうる可能性があります。
★細菌性腟炎を参照してください → ココから
★B群溶血性連鎖球菌(GBS)を参照してください → ココから |
|
|
検査 |
@腟分泌物の細菌検査 (感染している細菌の種類を調べます)
A血液検査 (白血球、CRP、白血球分画などの炎症変化を調べます)
B顆粒球エラスターゼ (感染に対する局所の防御因子です)
C胎児性フィブロネクチン (早産の予知と絨毛膜羊膜炎の診断に使われます)
以上の検査などにより、現状の感染状態や今後の方針を決めます。 |
|
|
治療と管理 |
先ず第一に感染状態と妊娠週数によって基本的に治療方針を決定します。
★感染が軽症の場合
子宮収縮と感染症状が軽度の場合は、子宮収縮抑制剤と抗生物質の点滴にて治療します。
★妊娠26週未満の感染の場合
極力妊娠維持に努め、上記感染が軽症の場合同様に治療します。しかし症状の改善が見られず子宮収縮が陣痛へと変わるようであったり感染症状が増悪するようならば、分娩することも考慮します。
★重症感染症の場合 抗生物質を点滴しながら、胎児への感染を考慮して早めに分娩する事もあります。 |
|
|
胎児への影響 |
発症した妊娠週数や感染状況によってさまざまですが、感染が母体に限局し抗生物質が有効であれば特に問題はないと思われます。しかし細菌が抗生物質に抵抗を示し感染が胎児に及ぶ場合は、上記したように胎児の感染は全身に及んでしまい致命的になることもあります。腟の細菌感染を早期発見する事が最良の予防策です。 |