考えられる状況 |
妊娠経過とともに母体に対する影響も多くなり母体の原因のみならず子宮内の胎児や胎児付属物(胎盤や羊水など)が原因になることもあります。下腹部の張りや痛みが以前からあり、安静にしても症状が軽快しない場合は切迫流産や早産の症状が悪化している場合があります。突然の下腹痛などが起こった場合、妊娠が関係しているものでは常位胎盤早期剥離などがありますが、産婦人科以外の病気も考えられます。時間が経つにつれて周期的な張りや痛みに変化する場合は、切迫流産や早産が考えられ、そのままにしていると子宮口の開大や軟化、胎児の下降、子宮頚管の短縮、出血など症状悪化のおそれもあります。 |
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注意点 |
下腹部の強い張りや痛みを感じた場合は、ソファーなどで横になり安静にしてください。以前から下腹部の張りや痛みを感じていて、安静にしても症状が良くならないときは、切迫流産や早産の症状が悪化していることが一番に考えられます。主治医から薬を処方されている方は早めに内服し安静にして症状が治まり、再発が無いようであれば特に心配ないと思われますが、何度も繰返すときは必ず主治医に連絡してください。胎動などによる生理的な痛みである場合もありますが子宮の収縮や痛みが時間の経過とともに増加する場合や出血が始まったときなどは早めに主治医にご相談ください。 |
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考えられる病名 |
1)切迫流産や切迫早産
妊娠中の下腹痛の原因で最も多く、下腹部の真中(陰毛の直ぐ上)あたりの鈍痛があります。このような痛みを感じた場合は、まず安静にして症状が治まるのを待ってください。もしも時間が経って下腹痛や出血が悪化する場合は早めに主治医に相談してください。
妊娠22週未満 詳しくは・・→ こちらへ
妊娠22週以降 詳しくは・・→ こちらへ
2)常位胎盤早期剥離
突然の下腹部痛と持続的な子宮の収縮をおこします。妊娠期間中に正常の位置にある胎盤が胎児が産まれる前に子宮から剥がれてしまう状態をいいます。胎盤が子宮から剥れてしまうことにより胎児は十分な酸素を胎盤から得られず低酸素状態になって生命の危険にさらされ、さらに母体は剥がれた胎盤などの組織因子がが血液中へ流入してDIC注)を起こし非常に危険な状態におちいることがあります。原因は高血圧、外傷、子宮の異常、感染症など多種に及びますが、妊娠高血圧症候群に合併することが多く、一度発症すると短時間に胎児生命を危うくするばかりでなく母体の生命維持のために緊急手術を行う必要があります。
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DIC注)
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3)尿路感染症(膀胱炎を含む) 妊娠中は、ホルモンの影響や子宮の増大などで非妊娠時に比べて膀胱炎や腎盂炎に罹りやすくなっています。残尿感や尿の異常を感じた場合は膀胱炎の可能性があり、、腰背部痛(背中を軽くたたくと痛みが増す)や発熱などがあるときは腎盂炎の可能性があります。いづれも早めに診察を受けてください。予防のためには尿意をあまり我慢せず頻回にトイレに行く習慣をつけてください。
4)円靭帯牽引痛 円靭帯(えんじんたい)とは子宮と骨盤をつないで子宮がグラグラと動かないように支えている組織のことです。
妊娠すると子宮が大きくなるためにこの靭帯が子宮に引っ張られて、両側のそけい部(足の付け根)あたりにつれる感じや痛みを感じる場合がありますが、妊婦健診で異常を指摘されていなければとくに心配ありません。
5)その他の考えられる病名
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