細菌性腟炎 |
正常な腟の中は、乳酸桿菌という菌によって酸性に保たれています。ところが一旦雑菌などが入り込んで細菌性腟炎の状態になってしまうと乳酸桿菌が減ってしまい、正常の腟内細菌状態に比べて100〜1000倍もの細菌に増えて、おりものや悪臭をもたらします。 |
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妊娠中の細菌性腟炎 |
妊娠中の妊婦さんが細菌性腟炎になると、正常の人に比べて流産や早産が増加するという報告があります。(細菌性腟炎に罹った妊婦さん全員が流産や早産を起こすわけではありません。1つのrisk
factorに成りうるということです。)細菌性腟炎が感染源となり絨毛膜羊膜炎を併発して流産や早産を起こすといわれています。 |
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細菌性腟炎の状態です。
感染が腟に限局しています。
症状は、オリモノの増加、オリモノの悪臭、外陰部のかゆみなどです。 |
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子宮頚管炎の状態です。
感染が腟から子宮頚管に拡がってきました。
症状は、上記に加えて子宮頚管の軟化や子宮収縮などが出てきます。
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絨毛膜羊膜炎の状態です。
感染が子宮頚管を越えて、胎児をくるんでいる卵膜にまで達します。
症状は、子宮収縮に加えて母体の発熱、時に破水することも有ります。母体の血液検査で炎症反応が陽性に出ます。
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羊水感染症の状態です。
感染が卵膜を越えて羊水中へ拡がってきます。母体の発熱も炎症症状も悪化します。
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胎児感染症の状態です。
感染した羊水を胎児が飲み込んだり、皮ふを介して身体の中に入り込んで胎児が感染します。
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検査 |
腟の分泌物を採取して細菌培養を行い、細菌の種類を確認します。絨毛膜羊膜炎を併発している可能性のある時には母体の血液を採取して白血球数や炎症反応(CRP検査)さらに超音波検査で子宮口の開大状態を調べます。 |
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治療 |
妊娠中の細菌性腟炎の治療は、細菌が腟内に留まっている場合と、子宮の中に入って切迫流早産の症状がある場合で異なります。前者の場合は腟の洗浄と腟内へ薬剤投与で治療します。また後者の場合は、入院して母体に抗生物質を全身投与して細菌を死滅させ、さらに流早産に対する治療も同時に行います。
治療後の分娩結果は、国内においても海外においても、早産率に変化があったという報告と、変化が無いというそれぞれの報告があります。しかし細菌性腟炎の治療が早い段階で必要であることには間違いありません。 |