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 妊娠貧血
 妊娠中の血液異常の代表的な疾患は妊娠貧血(鉄欠乏性貧血)です。この項では妊娠による母体の血液の変化を、貧血を中心に説明いたします。
   
妊娠による母体の血液変化 妊娠中の血液異常の代表的なものが妊娠による貧血です。妊娠に伴い血液の流れ(循環動態)は大きく変化します。妊娠中の造血機能(骨髄などで血液中の血球成分を造る機能)は亢進しますがそれを上回る胎児の鉄分の需要量増加があるために、鉄欠乏性貧血になりやすくなります(鉄欠乏性貧血は妊娠中の貧血の90%を占めます。)さらに血漿(けっしょう)成分(血液に含まれる液体成分で非妊娠時は血液の55%前後です。)は妊娠中期より増加し始め妊娠28〜32週でピークになり非妊娠時の約1.5倍まで増加します。血漿の増加量は骨髄の造血機能を上回ってしまうため血液が薄まった状態になり、この状態を「水血症」といいます。
   
妊娠による血液成分の変化
血液検査(単位) 非妊娠時正常値 妊娠中
赤血球(個/mm3) 480万 400万(後期)〜440万(初期)
白血球(個/mm3) 4500〜11000 6000〜16000
ヘモグロビン(g/dl) 12〜16 11(後期)〜14(初期)
ヘマトクリット(%) 37〜47 33(後期)〜40(初期)
血小板(個/mm3) 13万〜40万 殆ど変わりないか、やや減少
フィブリノーゲン(mg/dl) 200〜450 400〜650
血清鉄(μg/dl) 135以上 90以上
   
鉄欠乏性貧血 一般的に女性は300mg程度の貯蔵鉄を体内に持っていますが、妊娠全期間中に必要な鉄分は1000mgといわれ(胎児が母体から鉄分を取っていくため)、食事からの鉄分の摂取量が少なければ容易に鉄欠乏に陥ってしまい結果として「鉄欠乏性貧血」になってしまいます。この妊娠による「鉄欠乏性貧血」は、妊娠28週以降になると全妊婦さんの30〜50%に起こるといわれています。
   
貧血の診断 採血を行い、ヘモグロビン値が11.0g/dl以下、ヘマトクリット33%以下、血清鉄60μg/dl以下を貧血と診断します。症状は、突然の出血と異なり妊娠の経過とともにゆっくりと貧血が進行するために目立った症状はありません。重症貧血では、身体を動かすと息切れや動悸を感じるようになります。
   
治療 原則は食事療法で鉄分の摂取量を増やすことが推奨されますが、妊娠中は鉄分の需要量が多く食事のみで鉄分を補給することは困難です。そこで第一選択として鉄剤を経口投与することになります。しかし副作用として胃腸障害を認めたり、検査結果より重症な貧血と認めるようなときには鉄剤の静脈投与を行うこともあります。
治療の効果判定は、再度採血を行いヘモグロビンやヘマトクリットの改善を認めることで行います。しかし改善を認めてもこの結果は現在利用している鉄分であり、貯蔵鉄量は反映していないので早急に治療は中止せずに徐々に減量しながら中止する場合もあります。

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