呼吸器疾患合併妊娠 |
妊娠中の呼吸器疾患で頻度の高いものは気管支喘息、流行で問題になるものはインフルエンザです。
妊娠による呼吸機能の変化は以下の通りです。
@子宮が大きくなるにしたがい横隔膜を押上げて胸郭腔を圧迫する。
A妊婦は全身の酸素消費量が非妊時に比べて約20%増加する。
B1回換気量(肺に出入りする空気の量)は40%増加する。
C呼吸数は、非妊時と同じです。
D妊娠中は気道粘膜に、むくみと血管の怒張が起こり、非妊時に比べて上気道炎や鼻出血を起こしやすくなる。 |
|
|
インフルエンザ |
インフルエンザウイルスはRNA ウイルスで、A 型・B 型・C 型の3種類が確認されています。このうちA・B 型が流行し感染症を起こします。 |
|
|
症状 |
感染後の潜伏期間は1〜5日間です。咽頭痛、鼻汁などの一般的な風邪症状に39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状を伴います。これら症状は約1週間程度で軽快しますが、重症化すると細菌性肺炎などを伴うことも有ります。妊娠中に感染すると、非妊時にくらべて重症化しやすく注意が必要です。妊娠中の感染による胎児の催奇形性は無いとされていますが、中枢神経系の異常を引起す頻度が高いなどの報告もあります。 |
|
|
妊婦と胎児への影響 |
★妊婦 重症化して妊婦死亡があったとの報告があります。
★胎児 インフルエンザウイルスが直接関与して奇形が起こったという報告はありませんが、流早産の報告はあります。また神経管閉鎖障害や心臓奇形の報告もありましたが、インフルエンザウイルスが胎児に直接関与したものではなく、インフルエンザによる母体の高熱によるものと考えられています。 |
|
- |
治療 |
タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬を使用します。妊娠中服用の安全性は確立していませんが、といって胎児に影響があったという報告もありません。 |
|
|
予防注射 |
インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンなので比較的安全で妊娠16週以降であれば接種可能とされています。ウイルスを鶏卵内で培養して作るため卵アレルギーの有る方は注意が必要です。
ワクチン接種後2〜3週間で抗体が上昇し効果は3〜4ヶ月程度ですが、予測ウイルスの型がはずれると有効率は低下します。 |
|
|
新型インフルエンザ(H1N1)について |
妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A
(社団法人 日本産科婦人科学会 ホームページより) こちらへ |