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子宮頚部細胞診と組織診

 子宮頚部細胞診とは、腟の奥にある子宮頚部表面の細胞をプラスチックや木製のヘラで擦って取れた細胞をスライドグラスに塗ってパパニコロー染色という方法で細胞を染色して顕微鏡で検査する方法です。近年子宮頚部癌はヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)16型や18型などのセックスなどによる子宮頚管への感染が子宮頚癌の原因ではないかとされています。このことは、セックスの経験があれば感染の可能性があるということで不特定多数のセックス経験を意味している訳ではありません。 
   
細胞診  
  妊娠中であっても、細胞診は胎児に影響なく外来で簡単にできる検査です。最近は妊娠初期検査の一部に取り入れられています。非妊娠時に比べて検査後に少量の出血することがありますが直ぐに止血するので心配することはありません。 
   
方法 @内診台で腟鏡で腟を拡げて奥にある子宮頚部を確認後ヘラ(プラスチックや木製)で同部位を擦り子宮頚部の細胞を採取します。
Aヘラに付いた細胞をスライドグラスに塗付け、固定液で細胞を固定します。
Bスライドグラスに固定されている細胞を、パパニコロー染色という方法で染色します。
C染色された細胞を顕微鏡で調べ以下に示す評価をします。
 
   
評価  細胞診は確定診断ではありません。一言で言えば、「正常な状態か、悪性を疑うか」を想定する検査です。もしも悪性を疑う評価を受けた場合は、組織診(子宮頚部を細胞の塊として取り検査する)を行います。細胞診は検査した細胞の状態によって、classT〜classXまでにクラス分類されます。
異形成とは正常では見られない形態の細胞になる変化のことです。HPV感染などのさまざまな刺激の蓄積によって異形成が発症しその程度によって軽度・中等度・高度異形成というクラス分をします。軽度異形成であれば自然に消失することがありますが、高度異形成になると前がん病変あるいは良性と悪性の境界病変として取り扱われます。

 クラス分類  
 classT  正常な状態です。
 classU  正常では認めない異常細胞を認めるが良性です。(炎症変化など)
 classVa  悪性を少し疑う。軽度・中等度の細胞の異形成を想定し、この状態から5%程度に子宮頚部がんが検出されます。
 classVb  悪性をかなり疑う。高度の細胞の異形成を想定し、この状態から50%程度に子宮頚部がんが検出されます。
 classW  きわめて強く悪性を疑う。子宮頚部の表面に限局して、浸潤を認めない状態です。
 (上皮内がんCarcinoma in situ:CIS)
 classX  悪性や浸潤がんを想定する状態です。

★クラス分類とがんの進行度
 クラス
分類
判定  正常  良性  軽度
異形 
高度
異形 
上皮
内癌 
初期癌  浸潤癌
再発癌 
 classT  陰性              
 classU              
 classVa 偽陽性              
 classVb               
 classW  陽性              
 classX               
 
    対応する病変      包括する病変 
   
妊娠中の細胞診異常例の取り扱い  細胞診で異常があった場合でも、原則として非妊娠時と同様に取り扱います。さらに妊娠中は子宮頚部の扁平円柱上皮境界(子宮頚管粘膜が子宮腟部粘膜に変わるところ)という部分が非妊娠時に比べて外側に移動するために細胞診の精度は高くなります。
★細胞診の結果がクラスV以上であった場合は、コルポスコピーと組織診を行います(下記参照)。ただし結果がクラスVaであった場合はコルポスコピーのみで経過観察する場合もあります。

★細胞診の結果がクラスW(上皮内がん)でそれ以上の浸潤を疑う所見のない場合には、妊娠中に上皮内がんが浸潤がんに進行する頻度は低いとされているため円錐切除せずに経過観察します。

★しかし妊娠中であっても以下のような場合には、妊娠14週以降に円錐切除を行います。
 1)組織診が微小浸潤がんであった場合
 2)組織診では上皮内がんであっても、細胞診で浸潤がん(クラスX)を疑う所見のある場合
 3)組織診が上皮内腺がんの場合

★円錐切除を行って病理組織検査の結果が進行度分類Ta1期で脈管侵襲陰性(血管やリンパ管などにがんが進展していない)である場合と、上皮内腺がんの場合は経過観察できます。

★条件がそろい妊娠を継続した場合、定期的(2〜4ヶ月おき)に細胞診を行い安定していれば経腟分娩可能です。

★分娩後1〜2ヵ月後に細胞診、コルポスコピー、組織診などを行います。
 
   
妊娠中の子宮頚部円錐切除術 子宮頚部円錐切除術は、開腹手術ではありません。腟の奥にある子宮頚部を腟から円錐状に切除する手術です。妊娠中に円錐切除を必要とする場合は微小浸潤がん(細胞診でクラスX、組織診で上皮内がん)などの場合です(上記参照)。実施時期は妊娠14週以降が望ましく、通常の円錐切除術は背の高い円錐形(cone biopsy)になるように切除しますが妊娠中に背の高い円錐状に子宮頚管を切除してしまうと流産や出血さらに頚管無力症になる可能性があるため、背の低い円錐状(coin biopsy)の切除術を行います。円錐切除術によって切除された組織が大きいほど早産する可能性が高まります。また円錐切除術と同時に頚管無力症を予防するために子宮頚管縫縮術を行うこともありますが、その効果に一定の見解はありません。円錐切除術後の妊娠は、早産ハイリスク群として妊婦健診時に頚管長の短縮や子宮収縮状態さらに胎児の下降状況などを注意深く診察します。 
   
組織診  
  クラス分類がVa以上の場合組織診を行います。通常、組織診はコルポスコープという生体顕微鏡を使って病変と思われる部分を狙いうちして組織として切除し病理検査で異形成の分類(CIN分類という)をを行います。 
   
CIN分類  子宮頚部細胞の異形成と上皮内がん(CIS)を総称して子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)とよびCIN1〜CIN3に分類します。子宮頚部がんの大部分は異形成という前がん状態を経て扁平上皮がんというがんに進展します。また基底膜(上皮細胞層と間質細胞層などの間にある薄い膜)をがん細胞が越えてしまうと他の部位へ転移が始まります。 
   
子宮頚部がんの進行状態  子宮頚部がんの進行状態については・・→ こちらへ 
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