産瘤 |
赤ちゃんは、分娩時にお母さんの産道の形に頭を変形させながら産道を下りてきます。その結果頭は縦長に伸びた形になります。このような現象を「児頭の応形機能」といい、正常な頭の変形で、生後2〜3日、遅くとも1週間以内には元に戻ります。この変形は分娩時間が長いほどその程度が強くなります。 |
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発生機序 |
正常分娩の際に出来る、一種の頭皮と頭蓋骨の間のむくみです。
赤ちゃんはお母さんの狭い産道を一生懸命下りてきます。このとき児頭の軟産道と接している部分は産道壁から圧迫を受けて皮下組織内の静脈やリンパ管の流れが妨げられ頭の先端のうっ血が起こり皮下組織に浮腫(むくみ)が起こります。 |
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特徴 |
産瘤は赤ちゃんが産まれるときの先頭部分で、頭蓋骨の縫合や泉門に限定されず赤ちゃんの頭の何処にでも出来ます。 頭皮の健常な部分との境目がはっきりせず、触ると粘土のようで押すと凹みが出来ます。
お産に時間がかかると大きくなり、生後24時間程度で消失します。
お産で、赤ちゃんが頑張った結果で、心配ありません。 |
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鑑別診断 |
同じように児頭に出来るもので、頭血腫というものが有ります。
(下記参照) |
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頭血腫 |
頭血腫も産瘤と同様に分娩中に赤ちゃんの頭に出来ますが、産瘤がむくみであるのに対し頭血腫は頭蓋骨と骨膜の間の内出血です。同時に産瘤も起こります。分娩時の産道からの圧迫が非常に強かったときなどに起こってしまいます。 |
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発生機序 |
分娩時の産道からの圧迫が著しく強過ぎると、胎児の頭蓋骨を覆っている骨膜という膜が骨質から剥がれてしまい、骨膜から骨質へ通じている血管が切れて出血します。この出血が頭蓋骨とそれを覆う骨膜の間に溜って内出血を起こし血腫を形成します。 発生部位は、お母さんの仙骨側(尾てい骨側)にあった赤ちゃんの頭蓋骨に起こりやすく、頻度は全分娩中の0.2〜0.5%以下とされています。吸引分娩や鉗子分娩を行なわれたときに発症しやすいです。 |
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特徴 |
出血は、 発生した頭蓋骨内に限局して骨縫合を超えることはありません。触ると中に液体(血液)が溜って柔らかくフワフワした感じで産まれた直後から発症して大きくなっていくこともあります。通常は児頭の片側ですが両側に出来ることもあります。
産瘤と異なり、治るのには1〜3ヶ月かかります。 |
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管理と治療 |
通常は特別な治療をしないで様子を診ます。注射器などを用いて内容物の吸引などを行なうと、後で重篤な頭蓋内感染を引き起こす場合があり禁忌とされています。
また、出血量が多いときは、貧血になることもあり、さらに自然吸収されるときに高度の黄疸を来すこともあり、ビリルビンの検査を生直後から頻回に行う場合もあります。
1〜3ヶ月で自然吸収され、単独では後遺症を残さない事が多いですが、まれに頭蓋骨の血腫の周辺部に一致した環状の石灰化を来すこともあります。 |
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