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 母乳分泌とマッサージ 
 母乳分泌を促進するために、乳房をマッサージするという考え方は古来よりありました。近年になり助産師の桶谷そのみさん(桶谷式)や藤森和子さん(藤森式)らによってマッサージ方法が一定の方法に確立されてきました。 
   
乳房マッサージの基礎 乳房マッサージの基本は以下の2つからなります。

1)乳房の血液循環をスムーズにすること
2)乳首などの授乳刺激に対してスムーズに乳腺が乳汁産生を行い乳管が乳汁を分泌できるようにすること

乳房のうっ積は分娩後2〜4日で始まり、乳房全体のむくみと、そのむくみのために血管が圧迫され血流が悪くなりうっ血して悪化してしまい乳房はますますカチカチになって痛みを感じるようになります。
このように硬くなってしまった状態を解消するために、まず乳房全体(基底部)を動かすようにをやさしくマッサージしてあげると静脈の流れが改善され乳房内の血流がよくなります。血液の流れが改善されれば乳房全体のむくみも解消され、乳腺や乳管も圧迫から解消され乳汁産生〜乳汁分泌がスムーズに行えるようになります。マッサージ前のうっ積している乳房の表面に血管が浮き出て見えるのは、本来乳房内の乳腺などの静脈へ流れる血液が、乳房内がうっ血して流れにくくなっているので表面の血管へ流れ込んでしまうためです。
乳房全体の硬さがなくなり柔らかくなったら、次に乳首や乳輪のマッサージを行います。乳首や乳輪も同じようにむくみやうっ血状態にあります。乳首・乳輪をやさしく挟んで圧迫するようにマッサージして、乳首や乳輪の硬さをほぐし赤ちゃんが乳首をくわえやすくしてあげ、さらに授乳の刺激が脳へ伝わりやすくすることです。
 
   
母乳の分泌促進因子と抑制因子について 母乳を出やすくするための因子
1)乳房内の血液の流れをよくする。 (乳房のうっ積をマッサージなどでほぐす)
2)乳房(乳腺)内圧を下げる。 (乳汁を排出させることで乳房内圧を下げる)
3)乳汁分促進させるホルモンを分泌させる。 (直母によって授乳を行い、脳へ刺激を伝達させプロラクチン分泌を促進させる)

母乳の分泌を抑える因子
1)乳房内圧増加による乳房内の血流の悪化が起こる。
2)乳房を冷やすことによって、乳腺や血管を収縮させ分泌を抑える。
3)脳から分泌されるプロラクチンなどのホルモンを、薬剤で抑える。
 
   
母乳栄養の問題点
他人にやってもらうマッサージと自分で行うマッサージがあります。分娩後の乳房うっ積に対しては痛みを伴うこともあり、自分で行うことはなかなか困難でしょう。熟練した助産師さんなどにマッサージ方法を教えてもらいながら、マッサージをやってもらいましょう。
直接母乳をあげていれば、母乳は出続けるように指導されることもありますが、おっぱいがたくさん出るお母さんもいれば、なかなか出ないで不足気味のお母さんもいます。また乳首の形が赤ちゃんの口に合わない場合や、乳首を赤ちゃんに噛まれて傷が付いて痛くてあげられない、などのトラブルも付いて回ります。このような時に十分な授乳が行われず、乳腺に残乳があると乳房のうっ積が再度始まり、さらに乳腺に細菌感染が起こりやすくなり、一度、乳腺炎になってしまうとトラブルは自分で回避できなくなってしまいます。
母乳育児という面からは、このようなトラブルを回避する必要があります。もし乳首などに傷や水疱などが出来てしまった場合は、直接乳首を赤ちゃんに吸わせることにこだわらず、乳首を清潔に保ちながらマッサージを十分に行い、搾乳した母乳をあげることも考慮してください。ときどき外来で「赤ちゃんが哺乳ビンでは、おっぱいを飲まない。」というお母さんもいらっしゃいますが、このような乳首のトラブルもあるということを念頭において、日ごろから哺乳ビンで搾乳した母乳をあげる習慣もつけておくべきではないでしょうか。
大切な赤ちゃんを母乳で育てるためには、トラブルを回避するだけでなく、トラブルが起こってしまったときのことも考慮して、毎日ご自分で十分な乳房マッサージを行うように心掛けてください。
 
   
乳首のかたちについて 乳首のかたちは大きく分けて標準型、扁平型、陥没型に分けられます。一概に乳首のかたちが悪いからといって授乳に影響があるとはいえません。たとえ標準型であっても乳首が硬ければ赤ちゃんは嫌がるし、母乳の出も悪くなります。反対に陥没乳頭であっても、柔らかく母乳の出がよければニップルシード(下図)などの乳頭保護器を使えば初期からの授乳も出来ます。
妊娠10ヶ月に入ってから乳房マッサージ(乳首も含めた)を行なうことで、乳房のマイナートラブルも減少します。 
   
   
授乳期の残乳処理 直母(直接乳首から授乳すること)で授乳する場合、赤ちゃんがお腹いっぱいになって乳腺内の母乳が残ったままになっていると、新しい母乳産生が悪くなるばかりでなく、残乳に感染を起こして乳腺炎の原因になります。授乳後は面倒くさがらずに、必ず残った母乳を搾り出して新鮮な母乳を毎回赤ちゃんに与えるように心掛けましょう。ご自宅の冷蔵庫内の食品の賞味期限切れを処分するのと同じことです。赤ちゃんに賞味期限切れの母乳を与えないよう注意しましょう。
   
母乳育児を希望しない方や医学的に出来ないとき 分娩直後に母乳を止める内服薬(カバサールなど)で乳汁分泌をコントロールできます。
特に副作用などはありませんが、人によっては服後に一過性の吐き気が起こることもあります。

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