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 分娩誘発と促進 
 経腟分娩を目的に、器械的刺激や薬物投与によって人工的に陣痛を起こしたり促進することをいいます。自然の陣痛が来ない場合を誘発、微弱陣痛を有効陣痛にすることを促進といいます。 
   
必要な場合 分娩誘発を要する場合は、医学的理由と社会的理由があります。医学的理由はさらにお母さん側の理由と赤ちゃん側の理由に分かれますが、どちらも妊娠を継続することにより母児どちらかに異常を生じる可能性のある場合です。社会的理由は、お母さん側と医療側の理由によります。

医学的理由
母体側の理由  胎児側の理由 
・前期破水
・妊娠高血圧症候群
・羊水過多症
・母体合併症
 
・過期妊娠
・胎盤の機能不全
・子宮内胎児発育遅延
・糖尿病合併妊娠
・血液型不適合妊娠
・胎児死亡

社会的理由
お母さん側の理由  医療側の理由 
・分娩予定日を超過することによる焦り
・職場復帰の期日
・不便な交通事情
・墜落産の既往
・産科異常がある場合
・赤ちゃんに異常があり出生後の治療に合わせて分娩日を決める
   
誘発や促進が出来ない場合 以下のような場合は誘発や促進が出来ません。
 1)狭骨盤・骨盤奇形・巨大児などの児頭骨盤不均衡がある場合
 2)前置胎盤
 3)骨盤位・横位などの胎児の子宮内での姿勢が悪いとき
 4)臍帯下垂・臍帯脱出などの臍帯異常があるとき
 5)古典的な帝王切開術(子宮縦切開術)の既往があるとき、切迫子宮破裂の可能性があるとき
 6)子宮頚部ガンやHSV感染症(性器ヘルペス)などがあるとき
 
   
誘発と促進方法 器械的刺激方法と薬物療法があります。

器械的刺激方法
子宮熟化が未熟である場合などに用いられることがあります。子宮頚管、子宮壁、卵膜などを刺激することによってお母さんの身体から陣痛を強くする物質の分泌を促す方法です。注意点としては、子宮内に異物を入れるために感染症を起こす場合があるため、腟内に細菌感染のある場合などはあらかじめ抗生物質などの投与が必要なことがあります。

  ラミナリア

ラミナリアとは、海草の茎を切って乾燥、消毒したものです。これを子宮頚管に入れると頚管の水分を吸い取って膨らみます。この膨らむ力を利用して未熟で開きの悪い子宮頚管を拡げて子宮を刺激します。
ラミナリアには細・中・太の3種類あり使用本数は頚管の状態で1本〜時には10数本入れることもあります。

最近は、親水性ポリマーで出来たダイラパン、硫酸マグネシウムを含んだラミセルなどもあります。
 
卵膜剥離


子宮口が指1本分開いているときに、内診している指を子宮と卵膜の間にそっと差し込んで、全周にわたって卵膜を子宮から剥がします。この刺激によってお母さんの身体から陣痛を促進するプロスタグランジンやオキシトシンが分泌されます。若干の出血することがあります。

 
メトロイリーゼ


子宮口が2〜3cm開いているときに用います。メトロイリンテルというゴム(ラテックス)で出来た風船を子宮の中に挿入し生理食塩水または滅菌水を入れ膨らませ、卵膜剥離と子宮刺激を行います。
メトロイリンテルによる合併症
前期破水、臍帯下垂や脱出、頚管裂傷、腟や頚管内の細菌が子宮の中に入って子宮内感染症が発症する、胎児が押上げられて姿勢が悪くなる
 
人工破膜


子宮口が十分軟らかくなり4cm程度開いて、赤ちゃんが骨盤の中に入り込んでいる状態で行います。卵膜をかんし鉗子(かんし)などを使って破きます。

人工破膜による合併症
常位胎盤早期剥離、臍帯下垂や脱出、腟や頚管内の細菌が子宮の中に入って子宮内感染症が発症する。


薬物療法

頚管熟化させる薬と子宮収縮促進剤と呼ばれる薬があります。頚管熟化とはお産が近くなると子宮口が柔らかくなって開き始め分娩の準備が整った状態をいいますが、この子宮口が硬く閉じたままのときに用いる薬が頚管熟化させるお薬です。マイリス腟坐薬(硫酸デヒドロエピアンドロステロン:DHA-S)というお薬です。子宮収縮促進剤はオキシトシン、プロスタグランジンという薬剤です。プロスタグランジンは、オキシトシンに比べて自然に近い子宮収縮が期待できますが、オキシトシンに比べて作用時間が長く調節性に欠けます。

薬品 DHAーS  プロスタグランジン オキシトシン
 E2  F2α
適応目的 頚管熟化を期待 分娩誘発 分娩促進 分娩促進
使い方 腟坐薬 内服薬 点滴 点滴
作用 子宮頚管熟化
オキシトシン感受性の増加
子宮頚管熟化
子宮収縮
子宮頚管熟化
子宮収縮
子宮収縮
副作用 特に無い 過強陣痛、頚管裂傷、胎児機能不全、子宮破裂、羊水塞栓など
   
ひと言 自然分娩を希望され分娩誘発や促進を嫌うお母さんも時々おられますが、微弱陣痛などが原因で分娩時間が長期化することは、赤ちゃんやお母さんにとっても疲労などの問題から決して良いことではありません。分娩誘発や促進は、むやみに行うべきではありませんが、分娩後の弛緩出血などを考慮して行われることもあり、主治医と良く相談した上で赤ちゃんとお母さんにとって最良の方法を選択してください。 

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