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 心疾患合併妊娠について
 全妊娠女性の1%ほどに合併しています。妊娠の可否は循環動態や疾患によりますが、
最終的には、ご本人とご家族の合意で決定します。
 
   
妊娠の許可条件 @NYHA(New York Heart Association)による日常生活の制限分類

ClassT 身体的活動の制限の無い心臓病患者で、日常生活における身体活動の程度では、疲労感・動悸・呼吸困難・狭心痛は発生しない。
ClassU 身体的活動に軽度ないし中等度の制約があり、安静時は快適であるが、日常的な身体活動で、疲労感・動悸・呼吸困難・狭心痛は発生する。
ClassV 身体的活動に著しい制約があり、安静時は快適であるが、軽度の身体活動でも、疲労感・動悸・呼吸困難・狭心痛の形で不快感が発生する。
ClassW いかなる身体活動にも不快感が伴い、安静時にも心不全徴候や狭心痛が発生する。
  AACOG(American College of Obstetricians and Gynecologists)による心疾患の危険度分類

グループ 疾患名 死亡率%
心房中隔欠損・心室中隔欠損・動脈管開存・Fallot四徴(修復後)・生体弁による弁置換・僧帽弁狭窄(NYHA ClassT&U)
肺動脈弁や三尖弁の疾患・
0〜1
2A 僧帽弁狭窄(NYHA ClassV&W)・大動脈弁狭窄・大動脈縮窄症(弁に病変が無い)・Fallot四徴(未修復)・心筋梗塞の既往・Marfan症候群(大動脈病変が無い) 5〜15
2B 僧帽弁狭窄(心房細動あり)・人工弁置換  
原発性肺高血圧症・Eisenmenger症候群・大動脈縮窄症(弁に病変が有る)・Marfan症候群(大動脈病変が有り)・心臓心筋症 25〜50

上記の内容により妊娠継続の可否や危険性を判断されるのが、良いと思われます。原則として、NYHAのclassT〜U度までが妊娠許可条件だとご理解ください。また妊娠により心疾患の急性憎悪の際には、常に母体を優先して治療することになります。
 
   
妊娠分娩産褥期の循環器系の変化 妊娠中
循環血液量(身体の中に在る血液量)が、妊娠初期より増加し始めて妊娠30週頃には非妊時の1.5倍近くになり、心臓への負担が最大となります。

★分娩時
血圧の上昇や子宮の収縮によって心臓へ戻る血液量が増加する為、1回心拍出量は35%も増加します。逆に、分娩第2期(子宮口全開〜胎児娩出まで)では、「いきみ」によって胸腔に圧力がかかり、1回心拍出量は減少します。

★産褥期
分娩直後は、子宮収縮(妊娠で増大した子宮筋の中にあった血液が血管に戻る)と下大静脈の圧迫解除(胎児やその付属物の重みで下大静脈が圧迫されていた)により一時的に心臓へ戻る血液量が60%ほど増加します。分娩後1時間以上経過すると、分娩前よりも10〜20%逆に減少しはじめます。循環動態が完全にもとの非妊時に戻るには、5週間ほどかかります。
 
   

主な心疾患について
 

不整脈 妊娠を問わず、女性にしばしば遭遇することがあります。多くの場合、器質的な疾患と関係が無く治療せずに通常の妊娠・分娩経過をとります。治療を要する場合には、母体や胎児に安全なリドカインを用います。
心臓弁疾患 僧帽弁狭窄症 リウマチが主な原因で、左心房の拡大・肺高血圧症が特徴です。安静と減塩・必要に応じてβブロッカーという薬を使います。分娩時には、硬膜外麻酔を使い無痛分娩や吸引または鉗子(かんし)娩を施行することもあります。
僧帽弁閉鎖不全症
大動脈閉鎖不全症
左心室の拡大と肥大を認めます。妊娠により後負荷が減少するので
心室機能が回復することが多く、心不全を起こすことはあまりありません。
大動脈狭窄症 主に先天的な疾患が多く、心拍出量が減少するため重症の場合は、母体や胎児にとっては危険です。分娩方法は、帝王切開術を行います。
心臓弁置換後の妊娠 母体のリスクとして血栓症、胎児のリスクとして抗凝固剤による催奇形性などで原則的には、妊娠不可です。
しかし妊娠を強く希望される方は、一定の条件を満たしていれば、抗凝固剤を妊娠時期で変更することによりあえて許可することがあります。
先天性心疾患 心房中隔欠損症 無症状で、妊娠を期に発見されることもあります。妊娠による影響は少なく、修復手術をされた方は、特に医師からの注意が無い限り、通常の妊娠・分娩経過で問題ありません。
心室中隔欠損症 多くの場合、妊娠中に問題になることは少ないですが、肺動脈高血圧を生じるEisenmenger症候群などでは、母体死亡率が30〜50%といわれています。
ファロー四徴症 肺動脈狭窄・心室中隔欠損症・右室肥大・大動脈騎乗を四徴とした先天性の心奇形です。症状はチアノーゼ(全身の酸素不足)を起こします。修復手術が済んでいれば妊娠には問題ないことが殆どです。修復手術が行われていないと母体死亡率は10%ほどで、同時に流産や早産の危険性も高まります。
Ebstein奇形 チアノーゼ症状を認めなければ、妊娠中とくに問題は有りませんが、修復手術が行われていないと母体死亡率は10%ほどで、同時に流産や早産の危険性も高まります。
   
胎児への影響 心臓に合併症のある場合、早産や子宮内胎児発育不全の割合が正常に比べて2〜3倍増えるという報告もあります。また先天性の心臓奇形のある母親からは、2〜8%の子供に先天性心臓奇形を合併するという報告も有ります。(全妊娠での合併率は、1%ほどです) 
   
産褥期の管理 子宮などに溜まっていた血液が一気全身に戻ることにより、心臓の負担が増します。そのために心不全症状を起こしやすく、注意が必要です。また血栓症や細菌性心内膜炎なども併発しやすく暫くは十分な管理が必要です。 

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