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 頚管裂傷 
 分娩直後の大量出血の原因の一つです。赤ちゃんが産道を通る際に子宮腟部(子宮口)〜子宮頚管が切れてしまうことがあります。比較的高年初産のお母さんに多く、頻度は全分娩に対して1%前後です。 
   
原因 1)分娩が急速に進んでしまい、子宮頚管が十分に拡がる時間がなく切れてしまう。
2)子宮頚管が十分に拡が鉗子分娩・吸引分娩や骨盤位牽引術を行ってしまう。
3)赤ちゃんの頭が非常に大きかったり、巨大児で、通常以上に子宮頚管が拡げられた場合。
4)子宮頚管に、「むくみ」や感染症などの炎症があるとき。
5)子宮頚管縫縮術(ほうしゅくじゅつ)、円錐切除術、以前のお産で頚管裂傷を起こした、などの傷の跡があるとき。
 
   
症状と診断 分娩中は裂傷が起きても、赤ちゃんの頭や身体で傷を圧迫しているために出血は極少量で、通常気がつきません。しかし分娩直後、子宮の収縮が良いのに子宮口からの出血が多い場合は、頚管裂傷を疑います。通常裂傷部位の痛みはありません。よく切れる部分は時計でいうと3時と9時のあたりが多く、内診によって傷を確認して診断します。
症状は、かすり傷〜子宮頚管にとどまらずに子宮全体に及ぶ場合、傷は大きくなくても動脈などの断裂を伴う場合、などでは大量出血が起こりお母さんがショック状態に陥ることもあります。
 
   
治療 まず第一に、頚リス止血鉗子などを用いて裂傷部分の止血を行い、同部位を縫合します。裂傷が子宮頚部にとどまらずに子宮全体に及んでいる場合は、開腹手術が必要になります。出血が多くショック状態に陥る可能性がある場合は止血処置と同時にショックに対する治療を行います。 
   
予防法 お母さんにとっては少し辛いことかもしれませんが、子宮口が完全に開くまで陣痛に伴う「いきみ」を我慢していただくことです。子宮口が完全に開く前に「いきみ」という腹圧をかけてしまうと、赤ちゃんは子宮口を強引に拡げて下がろうとします。その結果子宮口(子宮頚管)が切れてしまいます。

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