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 羊水塞栓症 
 分娩時に、何かの原因で比較的多量な羊水がお母さんの血液中に羊水が流れ込んでしまい、突然お母さんが呼吸困難やショック状態、DICなどを起こしてしまう重篤な病気です。頻度は、全妊婦さんの0.03%と少ないですが、発症してしまうとお母さんの死亡率は60〜80%と高く非常に怖い病気です。
   
発症原因 現在確かな発症理由は分かっていませんが、過強な子宮収縮時に卵膜・子宮内膜などに傷があると比較的多量の羊水が破れた卵膜の隙間から子宮内膜の切れたお母さんの血管の中に流れ込んでしまうためと考えられています。羊水中には、赤ちゃん由来のいろいろな物質が含まれていて、それらが突然お母さんの身体に異常を引き起こします。身体の異常は、羊水中の物質が直接お母さんの身体に異常を引き起こすという考えと、アナフィラキシーショック(アレルギー性ショック)であるという考えがあります。

流れ込む物質によって、発症する部位や症状が異なります。

1) 胎便:お母さんの肺の血管を収縮させたり血管に詰まって機械的梗塞を起こし肺高血圧を起こします。

2) プロスタグランジン:お母さんの肺の血管を収縮させ肺高血圧を起こします。

3) 胎脂:お母さんの肺の血管を収縮させたり血管に詰まって機械的梗塞を起こし肺高血圧を起こします。

4) 肺サーファクタント:お母さんの全身の血管で血栓(血の塊)を作り、DICを起こします。

5) 組織因子:お母さんの全身の血管で血栓(血の塊)を作り、DICを起こします。

いずれにせよ、最終的には多臓器不全を起こして、母体死亡に陥ります。
 
 
 
  羊水中の胎児由来の物質でお母さんの身体に異常を引き起こす物質で主な物は以下の通りです。

 1)胎便(赤ちゃんのうんち)
 2)プロスタグランジン
 3)胎脂(赤ちゃんの皮膚についている脂)
 4)肺サーファクタント
 5)組織因子
   (羊水中のケミカルメディエーター)
 
症状 破水した後で、突然呼吸困難や胸部痛を起こし、数分以内に痙攣・チアノーゼ・呼吸停止してしまいます。 
   
治療 初期症状を確認したら、酸素投与、点滴用の血管確保などショックに対する治療、さらにDICに対する治療を開始する。
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