過強陣痛 |
陣痛が強くなりすぎて、赤ちゃんが苦しくなる状態をいいます。 |
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原因 |
1)陣痛促進剤の使用によって陣痛が過強になることがあります。
2)母体の軟産道の抵抗が大きいとき、胎児の分娩に対する姿勢が悪いとき、児頭骨盤不均衡などでも起こります。
3)常位胎盤早期剥離では、持続的な子宮収縮がおこります。 |
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検査と診断 |
陣痛が正常か過強なの診断は、子宮内圧を測定することで診断をつけますが、臨床的には子宮内圧を正確に測ることは困難な場合が多く、胎児心拍数陣痛図(CTG)によって外測法を用いて代用しています。また、お腹を触ると子宮に収縮輪という過度の収縮を認めることがあります。
診断基準
1)子宮内圧の上昇
2)陣痛周期の短縮
3)陣痛の持続時間の延長
以上の3つのうち1つでも認めた場合に「過強陣痛」と診断します。
正常陣痛と微弱陣痛の基準値の比較
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子宮口の状態 |
正常分娩 |
過強陣痛 |
子
宮内圧 |
4〜6cm |
40mmHg |
70mmHg以上 |
7〜8cm |
45mmHg |
80mmHg以上 |
9cm〜分娩第2期 |
50mmHg |
55mmHg以上 |
陣痛周期 |
4〜6cm |
3分 |
1分30秒以内 |
7〜8cm |
2分30秒 |
1分以内 |
9cm〜分娩第2期 |
2分 |
1分以内 |
持続時間 |
4〜6cm |
70秒 |
2分以上 |
7〜8cm |
70秒 |
2分以上 |
9cm〜分娩第2期 |
60秒 |
1分30秒以上 |
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胎児心拍数陣痛図による比較 (上が正常、下が過強陣痛)
★正常陣痛
★過強陣痛
注)上図の過強陣痛の陣痛周期が正常陣痛に比べ延長していますが、陣痛持続時間延長・子宮内圧上昇で過強陣痛としました。 |
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治療 |
1)子宮収縮促進剤を用いている場合はすぐに中止します。オキシトシンを使用している場合は、血液中の薬剤の効果は5分前後で半分になるため経過観察をおこないます。プロスタグランジンは効果時間が長いために治療を要する場合があります。
2)胎児の状況によって酸素の投与、母体の体位変換(お母さんの身体の向きを変える)などを行います。
3)必要に応じて、子宮収縮抑制剤(切迫早産で用いる薬剤・塩酸リトドリンなど)を使って収縮を和らげることも行います。
4)胎児機能不全や、母体の子宮収縮が収まらず、子宮破裂の恐れがあるときなどは、帝王切開術を行います。 |
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過強陣痛の胎児への影響 |
過度の子宮収縮による圧迫で胎児機能不全を起こすことがあります。収縮に関係なく胎児の状態が改善しない場合は緊急帝王切開術が必要になる場合があります。 |
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過強陣痛の母体への影響 |
子宮収縮の改善が見られず、さらに増強するようなときには子宮破裂の可能性が高まるため、緊急帝王切開術が必要になります。子宮収縮の改善が認められた後に、子宮の疲労から微弱陣痛になってしまうこともあります。 |