HELLP症候群 |
Hemolysis(溶血)、Elevated Liver enzyme(肝酵素上昇)、Low Platelet(血小板減少)という3症状がみられる症候群をいい、1982年にWeinsteinによって頭文字をとってHELLP症候群と報告されました。
当時は妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)の特殊型として報告されましたが現在は新分類され妊娠高血圧症候群には含まれないが関連疾患として認識されています。
発症する妊婦さんの約90%に妊娠高血圧症候群の合併があり経産婦さんや多胎妊娠(双子以上)に多く、全妊娠の0.5%に発症します。 |
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症状 |
妊娠中期以降、特に妊娠末期~産褥3日以内に突然の上腹部痛~季肋部痛(上腹部で左右の肋骨の下の部分)、吐き気、嘔吐などで発症します。 |
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検査所見 |
溶血(Hemolysis) |
ビリルビン |
1.2mg/dl 以上 |
LDH |
600U/L 以上 |
末梢赤血球の
形態 |
有棘赤血球、壊れた赤血球などの
形態異常 |
肝酵素上昇
(Elevated Liver enzyme) |
AST |
70IU/L 以上 |
ALT |
70IU/L 以上 |
血小板減少(Low Platelet) |
血小板数 |
10万 以下 |
★検査結果がすべて揃わなかった場合の考え方
1)HELLP症候群の初期症状で、時間が経ってすべてが揃って診断が付く。
2)各異常を起こす可能性のある内科的疾患を考える。(特発性血小板減少性紫斑病、溶血性疾患、肝炎、など)
3)分娩時の大量出血による二次的な臓器障害による
正常血圧の妊産婦褥婦さんの場合は、1)に比べ2)3)の可能性が高いという報告もあります。
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合併症 |
子癇発作、DIC、常位胎盤早期剥離、腎不全、肺水腫 など |
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治療 |
治療の基本は、妊娠高血圧症候群と同様に、妊娠のターミネーション(早期分娩)です。
胎児機能不全を起こして緊急帝王切開術を行うことも多いです。 |
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予後 |
症状の重症度によって予後は左右されますが、妊産婦死亡率は0~24%、周産期死亡率は5~37%と非常に高く予後不良な場合が多いようです。 |