妊娠による基礎体温の変化 |
一般に体温は、食事、運動、感情の変化、基礎代謝などによって刻一刻と変化しています。
基礎体温は、これらの体温に影響を与える可能性のある諸条件を避けて測定した体温のことをいい、通常朝起床時の安静な状態で測定した体温をいいます。 |
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基礎体温の
測り方 |
基礎体温は専用の婦人体温計を使い、朝眼が覚めたと同時に起きあがらずに口の中(舌下)で5分間以上測定します。
目盛りは2種類あります。35.5℃〜38℃を通常の温度計より詳しく書いてある目盛りと 、OV目盛りといって35.5℃〜38℃の間を50等分して1〜50まで目盛りを付けたものがあります。どちらを使って計測してもかまいません。ご自分で使いや目盛りをお使いください。 |
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記入の仕方 |
基礎体温表の左から右に向かって年月日をふり、毎日測定した体温を記入し直線で結んでいきます。
下段にある記号記入欄は月経や中間期痛などを記号として書き込みます。
症状 |
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記号 |
月経 |
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× |
中間期痛 |
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△ |
不正出血 |
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▲ |
性交 |
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○ |
中間期帯下感 |
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+ |
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基礎体温の
診かた |
正常(非妊娠時)の基礎体温は、低温相と高温相を14日前後で規則正しく繰り返します。一般に低温相より0.3〜0.6℃上がれば高温相といいます。また低温相から高温相へ変化していく2〜3日間が排卵日になります。
低温相では、卵巣が卵子を発育させて排卵の準備をしています。高温相は卵巣の排卵した部分が黄体という変化を起こしプロゲステロンというホルモンを分泌し始めます。このホルモンが体温を上昇させるため高温相になります。妊娠が成立しない場合、この黄体の寿命は14日間程度なためプロゲステロンの分泌が止まり、子宮内膜が剥がれ落ちて月経が始まります。
よく「排卵期に体温の一時的な下降が起こり、これが排卵日です。」と言われますが、実際は全ての周期で起こるわけではなく、基礎体温表から排卵日の特定は出来ません。
正常な基礎体温表
妊娠を疑う基礎体温表
妊娠が成立すると、卵巣の排卵により黄体へ変化した部分が、さらに妊娠黄体へ変化してプロゲステロンを分泌し続けるため高温相が持続します。通常14日間以上高温相が持続した場合妊娠を疑います。
ここで妊娠を疑うという表現をしたのは、絨毛性腫瘍などでも基礎体温が上昇し持続するからです。
妊娠12週前後に胎盤が完成し始めると胎児は自身で生活し始め、妊娠黄体の役目が終わるため、基礎体温は徐々に低下し始めます。
流産を疑う基礎体温
妊娠中は胎児側からHCGというホルモンが分泌され、このHCGが妊娠黄体を刺激してプロゲステロンを分泌させ続けます。しかし胎児に何か異変が起こり流産兆候が出るとHCGの分泌量が減り、妊娠黄体からのプロゲステロン分泌量の減少が起こるため、基礎体温が下がり始めます。基礎体温の下降と流産の症状は必ずしも一致しません。流産の診断は超音波検査が優先されます。
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