急性妊娠性脂肪肝(AFLP) |
妊娠後期、特に初産の妊娠35〜36 週頃に突然発症し肝不全になります。頻度は、妊婦さんの7000〜15000人に1人という報告から150000 人に1人という報告もありまちまちです。 |
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原因 |
原因不明ですが現在では脂肪酸の酸化に関わる細胞内のミトコンドリアの異常で肝細胞内に微小脂肪滴の浸潤を起こすのではないかといわれています。また約半数の患者さんに妊娠高血圧症候群を合併しているとされ、現在注目されています。 |
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症状 |
一般に妊娠後期に発症(初産婦>経産婦)します。初発症状は、吐き気、嘔吐、上腹部を中心とする腹痛で始まり食欲不振、倦怠感、疲労感などで発症します。発症後、数日〜1
週間ほどで黄疸が出現し肝機能障害から肝不全になります。しかし臨床症状は多彩で軽症〜重症までさまざまです。 |
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検査 |
肝機能検査は症状に比べ悪化しません。(血液中のビリルビン、ALT、AST、白血球などの軽度〜中等度の上昇)
血液凝固検査系(フィブリノーゲン、プロトロンビン時間、AT-Vの顕著な低下と軽微な血小板の低下、FDPの上昇)に異常を認めること多く、さらに低血糖に陥ると増悪するといわれています。 |
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治療と予後 |
分娩によって自然に症状が軽快されることが以前より知られているため早期診断例では、母体の全身状態が安定した時点で速やかに帝王切開術などで分娩します。しかし大多数の症例で血液凝固系の異常に対する補充療法、急性腎不全に対する血液透析、意識障害に対する人工呼吸器などのICU(集中治療室)での治療が行われます。基本的には分娩後1週間前後で肝機能は正常に戻ることが多いものの、急性期に母体死亡になるケースもあります。 |